1993
ALL I GAVE/WORLD PARTY
              /FROM BANG!(KARL WALLINGER)
 80年代の名曲のWATERBOYSのTHE WHOLE OF THE MOONをマイクスコットと一緒に作り上げた男。カール ウォーリンガーのバンドのワールドパーティの最高傑作のBANG!の最後を飾る曲。ビートルズやそれ以前のポップスの伝統を引き継ぎ、それを素晴らしいソングライティングとアレンジで聞かせるバンドだけあって、このアルバムは飽きることがない。カールウォーリンガーは、強いヴォーカルではなく、どっちかというとクールに味わいを聞かせると言う感じで、素敵なコーラスの掛け合いできらきらとした仕上がりになっている。聞いていて、ウキウキしてぱっと明るくなるというより、なんか微笑んでしまうような楽しさを持っている。
 このバンドの3枚の作品がこれにあたり、この作品まで曲づくりに参加していたGUY CHAMBERSは、その後、今のイギリスを代表する歌手のROBBIE WILLIAMSと組み、大成功を収めた。このワールドパーティの作風は、しっかりROBBIE WILLIAMSの曲調に反映されている。結構地味だけど、とっても素敵な曲。
(8月27日)

WALKING IN MY SHOES/
DEPECHE MODE
/
FROM SONGS OF FAITH AND DEVOTION(MARTIN GORE)
 U2を手がけたことで知られるアントン コービンによる徹底的なビジュアル戦略で、ヨーロッパ的耽美主義的なイメージを植え付けたデペッシュ モード。80年代から90年にかけてのイギリスを代表するバンドである。エレクトリック ポップの代表的なバンドなのだが、ジャーマンシーンの影響を受け、メタリックな音を取り入れ、陰りのある親しみのある音づくりで圧倒的な人気をえてきた。バンドは、3人の鍵盤奏者がバックに並び、その前をデイヴィッドガーンが客を煽動しながら歌うというスタイルである。時たま、マーティンゴアがギターを持ったり、アランワイルダーが生ドラムを叩くこともあるが、中心の音はシンセである。でも、とても暖かい音であったり、生々しい音であったりする。
 「忠誠と奉仕の歌集」の名の通り、このアルバムは非常にスピリチュアルな内容を持っている静かな内容なのだが、とにかく売れた。この曲は、印象的なプロモーションヴィデオだけでなく、エコーの聞いたエレピのイントロ、悲しげなギターの音、分厚いシンセが奏でる憂い、堂々たるデイヴィッドガーンの歌唱で彼ららしい世界を作り上げている。思い出すのは、ヨーロッパの霧である。行ったことはないけど、イメージはふくらむ。
2000年12月13日

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